いつわりびと空 夢小説Ⅲ

今回は黒羽と際刃です(ネタバレ注意)

黒羽視点
僕は・・・
『愛される』ということを知らない・・・
父親からは虐待さあれ、母親はいなかった
だから
僕が殺した奴のなかにいる
最後の言葉の意味が分らなくて
【父さん・・・母さん・・・】
父さん?
母さんだと?
ふざけるな
親がどうした?
所詮親なんて愚図(グズ)だ
僕の人生で一番の過ちだ
あいつの子供として生まれてきたこと
過ちだ
過ちだ過ちだ過ちだ過ちだ過ちだった
でも、もういい
あんな汚らしい過去
とうの昔に捨てた
いま僕に必要なもの
ソレは・・・


際刃視点
俺は黒羽に一生の忠誠を捧げよう
あなたが
あなたがあの時
俺に声をかけてくれたから
俺は今
ここに存在できているんだ
あなたがかけてくれたあの言葉
【ねぇ、大丈夫?起きれる?】―・・・
あのときは
あなたに対する怒りがこみ上げていて
もう目の前が真っ赤で
つい、カッとなってしまった
でも
あの言葉
心の中では
少し
ほんの少しだけど
光を感じたんだ
ありがとう
ありがとう
本当に
あのときから俺は
あなたを一生
愛し
守り
傍にいる
あなたの傍らで見守っていることを
いまここで誓う
だからあなたは
自分が幸せになることだけを考えてください
俺はあなたの傍らにいます
きっとそばで
あなたのそばで―・・・


黒羽視点
あああ
くそ
くそっ
頭目
よくもあいつら(空達のこと)と仲良くしてくれたね
裏切ったのか?
裏切られたのか、僕は?
なんで
なんでなんでなんで
・・・
この先・・・
頭目達とどう接すればいいのだろうか
もう何も分らなくなってしまった
「黒羽」
「っ!際・・・刃」
「どうかしましたか?なにか悩んでいるように見えてしまって・・・」
「・・・君はすごいね。何でもわかるのかい?」
僕は力なく笑った
頭の中は真っ白だった
「・・・どうしたの?」
際刃はしばらく黙っていた
やがて
「俺はなにもわかっていない」
「・・・際刃?」
「黒羽、どうしてあなたはそう一人で抱え込んでしまうのですか」
「な・・・」
「話してください、ちゃんと。俺の目を見て」
「・・・わかった。僕が悪かったよ」
僕は際刃に向きなおって話した
目を
際刃の目を見て


際刃と話していると
だんだん答えが見えてくるような気がした
スッとした気がした
「・・・そうですか」
「うん。でもういいよ」
「え?」
「答えは出た。―君と話していたらね」
僕が出した答え。
それは―・・・


「黒羽・・・?」
「やあ、鳥頭目
「お、俺さ、空のことも好きだけど、黒羽のことも好きだ。だからまた一緒にっ・・・・!」
「鳥頭目。君たちはもう要らない。はやく僕の前から消えてくれ―・・・」



「黒羽」
「やあ。際刃。どうしたんだい」
「―あれでよかったんですか?」
「ああ、鳥頭目のこと?いいんだ、あれで」
「しかし、瑪瑙の杯(メノウノサカヅキ)は鳥頭目が、鉄壁の鎧となる着物はあの子供が持っていますし、しかも・・・」
「いいんだっ!!!!」
「・・・・黒羽、」
「あれでよかったんだ。あれが・・・鳥頭目達のためなんだよ」
「は・・・?」
「いっ、いや、あれはっ、ぼっ僕らのためでもあるんだ。おたがい、きっとすれ違うときが来ると思ってた。―今がそのときだよ。わかるかい?」
「・・・黒羽は、自分のためだとおっしゃるのですか」
「・・・?そうだよ?」
「ならどうしてあなたは」


ポタポタッ


「―泣いているのですか」
ポタポタポタッ
・・・涙がとまらない
あれ、どうしてだろう・・・
・・・
ああ、わかった
これが、


人を愛するということなんだね―